水産研究成果情報検索結果




サイドスキャンソナーを用いた中層トロールのサンマに対する採集効率の推定
サンマ資源量の推定において、調査漁具である中層トロールの採集効率の推定精度を高めることが重要である。2005・2006年10月に岩手県沖のサンマ漁場において、サイドスキャンソナーを用いた音響調査と中層トロール網による漁獲試験を同時に実施した。サイドスキャンソナーの画像解析から推定したサンマの分布密度とトロール網による採集尾数の比較結果から、採集効率を0.179と推定した。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所 八戸支所  資源生態研究室 連絡先 Tel.0178-33-3411
推進会議名 東北ブロック 専門 資源評価 研究対象 さんま 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 5(2)主要水産資源の調査及び海洋環境等の長期モニタリング
[背景・ねらい]
サンマは我が国の水産業における重要魚種であり、TAC(漁獲可能量)が設定され資源が管理されている。このため毎年資源評価を行いABC(生物学的許容漁獲量)を算定している。サンマの資源量は、漁期前の6・7月に北太平洋の広い海域で中層トロールによる漁獲調査を行って推定している(図1)。中層トロールの採集効率(以下q、図2)は、資源量の推定値に直接影響する重要なパラメータである。現在の値(q=0.144)は、棒受け網漁業のCPUE(1隻・操業あたり漁獲尾数)から求めた資源量との対比で間接的に推定したものである。サンマは生息水深が浅く計量魚探が使えないが、これを観測可能なサイドスキャンソナー(音響調査機器)を用いて分布尾数を直接推定し、より信頼性の高いqを求めることを目的とした。
[成果の内容・特徴]
・2005・2006年の10月に岩手県釜石沖で2隻の調査船を用いて、サイドスキャンソナーによる音響調査と中層トロールによる漁獲試験を同時に実施した(図3)。

・サイドスキャンソナーは、本来海底面の音響画像を作成する機器であるが、浅い深度で曳航することにより表層付近の水中の画像が取得できた(図4)。

・画像内の魚影を画像解析によって計数し、調査海域のサンマの分布密度を推定した。この結果を中層トロールによる漁獲尾数(漁獲物はほとんどサンマのみ)と比較して採集効率を推定した結果、q=0.179となり、現在の値より高くなった。

・例として、採集漁具のqが1.0の場合に資源量が1000(トン)とされる資源では、q=0.15の場合には資源量は6,666(トン)、さらにq=0.18となると5,555(トン)となり、qの値が高くなると推定資源量は減少する結果となる。
[成果の活用面・留意点]
活用面:採集効率の精度の向上によって、資源量推定の精度が向上する。

留意点:サイドスキャンソナーデータの特性(ノイズの存在など)のため分布量を過小評価しているケースがある。




[その他]
研究課題名:資源評価調査

研究期間:平成21年

予算区分:水産庁委託事業

研究担当者:上野康弘・納谷美也子(東北水研八戸)、伊藤寛・清水勇一(岩手水技セ)

発表論文等:サイドスキャンソナーによる海中のサンマ個体数の推定.第57回サンマ等小型浮魚資源研究会議報告.
[具体的データ]




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