実践!新発想のマコガレイの資源管理 |
漁獲量が著しく減少していたマコガレイについて、保護区域の設定やガッパ魚の再放流などの管理措置を漁業者等と実践したところ、努力量を増加させることなく、マコガレイの漁獲量を増やすことができた。 |
担当者名 |
宮城県水産技術総合センター 環境資源部 |
連絡先 |
Tel.0225-24-0138 |
推進会議名 |
東北ブロック |
専門 |
資源管理 |
研究対象 |
かれい |
分類 |
普及 |
「研究戦略」別表該当項目 |
1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発 |
[背景・ねらい]
宮城県は緊急に資源を回復すべき魚種としてマコガレイを選定し、仙台湾で漁業者が従前から自主的に取り組んできた管理方策に加わり、漁業実態を考慮した新しい管理手法の開発と普及に取り組んでいる。
[成果の内容・特徴]
1)産卵場と保護区域の設置
仙台湾の産卵場は2006年までに泥と粗砂の境界域約250km2と推定された。保護区域設定の管理効果をシミュレーションし、産卵場の20%に相当する50キロ平方メートルを目標に拡大していくことを提言したところ、県漁協仙台湾小型漁船漁業部会では、保護区の位置と面積を毎年協議し、宮城海区漁業調整委員会が保護区内水産動植物採捕禁止の指示を発動している。2008年は12月から4月までの5ヵ月、4ヵ所で実施した。
2)産卵場及び保護区域の追跡調査
保護区域の効果を確かめるための底曳網調査を2007年に実施したところ、保護区域内ではマコガレイ成魚5尾が確認されたが、保護区域外ではみられなかった。また、産卵を確認するための採泥調査を2007年と2008年に実施したところ、2007年は礫が混じるか粒径の大きな粗砂域で産卵が多いこと、以前産卵の見られた同地点で産卵していたことが確認された。
3)産卵後親魚の有効利用
値段のつきにくい産卵後親魚(通称:ガッパ魚)の標識再放流を実施したところ、3月に再放流したものが4ヶ月後には体重が1.5倍にまで増加した状態で漁獲された。また、この時期のマコガレイは高値で取り引きされていた。このことから、産卵後親魚の再放流は、資源添加と漁業経営の両面から漁業者に貢献できると考えられた。
4)漁獲量の推移
2005年まで減少傾向にあったマコガレイの漁獲量は、2006年以降は増加に転じ、現在では200tを超えるまでに回復した(V字回復)。
[成果の活用面・留意点]
保護区域設定の取り組みを継続し、加入資源(産卵量)を確保する。また、産卵後親魚の有効利用を普及・推進していく必要がある。
[その他]
研究課題名:資源管理型漁業総合推進事業
研究期間:2003-2008
予算区分:交付金
研究担当者:渡邊一仁、上田賢一
発表論文等:宮城県マコガレイ資源回復計画(2008年2月)
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