水産研究成果情報検索結果




外洋域における日本系サケの分布様式とサケ混合集団の系群組成
 夏季および秋季にベーリング海と北太平洋で漁獲されたサケ未成熟魚について,耳石温度標識およびミトコンドリアDNA(mtDNA)による系群識別を行った結果,日本系サケはベーリング海一帯に広く分布していることが明らかとなった.また,日本系サケは中部ベーリング海での出現割合が高く,その分布様式に偏りがある可能性が示唆された.
担当者名 独立行政法人水産総合研究センターさけますセンター さけます研究部 遺伝資源研究室 連絡先 Tel.011-822-2341
推進会議名 北海道ブロック 専門 水産遺伝育種 研究対象 さけ・ます類 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(2)水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発
[背景・ねらい]
 各国系のサケが混在する海域におけるサケの地理的起源や分布様式を把握することは,日本系サケと他国系サケとの関係を解明し適切な資源管理を行う上で重要である.本研究ではベーリング海と北太平洋における日本系サケの分布様式を明らかにすることを目的とし,耳石温度標識とmtDNAによる系群識別を行った.
[成果の内容・特徴]
 2006-2007年の6-7月にベーリング海と中部北太平洋で漁獲されたサケから耳石を採集し,標識の有無を確認した.6,075個体中172個体で耳石標識が確認され,その全てがベーリング海で漁獲されたものだった(表1).このうち約90%が日本のふ化場を起源とするサケであり,それらは調査海域全体に分布していた.

 2002-2004年の7月と9月のベーリング海と北太平洋で漁獲されたサケ未成熟魚のmtDNAハプロタイプを決定し,海域別に最尤法による遺伝的系群識別を行なった(図1).さらにCPUEによる引き伸ばしを行い,系群別分布密度を推定した.その結果,漁獲された未成熟魚の多くは日本系またはロシア系であり,それらはベーリング海の広い範囲に分布していた(図2).特に,中部ベーリング海では日本系の割合が最も高かった.一方,ベーリング海での北米系の割合はアジア系に比べて少なかった.

 上記の結果より,日本系サケ未成熟魚は夏季−秋季にはベーリング海一帯に広く分布しており,特に中部ベーリング海でその割合が多いことが明らかとなった.この結果は海洋生活期にある日本系サケにとってベーリング海が主要な生息海域であること,またその分布様式に偏りがある可能性が示唆された.
[成果の活用面・留意点]
・遺伝的系群識別と耳石温度標識を組み合わせることにより,沖合サケ混合集団についてのより詳細な地理的起源の推定が可能となる.

・未成熟魚について海洋年齢ごとに系群識別を行うことで,翌年の回帰資源量が推定できる可能性がある.

・過去の冬季および春季の沖合調査で得られた標本について同様の解析を行うことにより,日本系サケの詳細な回遊経路を把握することができる.
[その他]
研究課題名:国際資源評価等推進対策事業

研究期間:平成20年度(単年度更新)

予算区分:水産庁委託事業

研究担当者:佐藤俊平・高橋昌也・名古屋博之・浦和茂彦

発表論文等:Sato, S. et al. 2009. Stock distribution pattern of chum salmon in the Bering Sea and North Pacific Ocean during summer and fall of 2002-2004. N. Pac. Anadr. Fish Comm. Bull.5: 29-37.  Sato, S. et al. 2009. Preliminary Records of Otolith-Marked Chum Salmon found the Bering Sea and North Pacific Ocean in 2006 and 2007. N. Pac. Anadr. Fish Comm. Bull. 5: 99-104.
[具体的データ]




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