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愛知県沿岸域における春季のシラス漁況と海況
 愛知県沿岸域における春季のシラス漁況と東海海域における海況との関係について、日別の漁獲統計や衛星画像の水温情報をもとに検討した。シラスの初漁期と黒潮系暖水の接岸時期が概ね一致することや、漁獲量の上昇期には広い黒潮内側域が形成されてそこに強い暖水流入が発生していることなどから、春季のシラス漁況には海況の影響が認められた。
担当者名 愛知県水産試験場 漁業生産研究所 海洋資源グループ  連絡先 Tel.0569-65-0611
推進会議名 中央ブロック 専門 資源評価 研究対象 いわし 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
 シラス漁家や関係加工・流通業者の経営安定化に資するため、近年のシラス主漁期である春季の漁況と海況との関係を明らかし、シラス漁況予測技術の向上を図る。
[成果の内容・特徴]
1)愛知県海域の春季シラス漁における近年の代表的な好漁年(2008年、2007年)と不漁年(2004年)について、1日1ヶ統あたり漁獲量(以下CPUE)の変化と衛星画像から読み取った東海海域の海面水温の分布とを比較した(図1、2)。

2)上記3ヵ年では、いずれも春期における最初の15℃以上の暖水の接岸が発生した直後に、春漁における最初の本格的な操業がみられた(図1、2、表1)。この結果と、「春漁の初期には、漁場が形成される沿岸の水温が低く、シラスは相対的に水温の高い沖合に分布する」というこれまでの知見から、初漁期の来遊には沿岸への暖水流入が必要であると考えられた。

3)好漁年の5月には、黒潮が内側域の広いC型流型をとっており、遠州灘の沖合で西向きに強く暖水が流入するとCPUEの上昇がみられた(図1、2、表1)。この結果と、「春期は、水温上昇とともに黒潮内側域全体がシラスの供給源となる」というこれまでの知見から、好漁年では、広い内側域で来遊可能な資源量が増大した後、強く暖水が流入することで流況の変化が生じ、沿岸の漁場に大量のシラスが来遊するものと推測された。
[成果の活用面・留意点]
 春漁の初期(3,4月)に、愛知県沿岸域への暖水流入の発生を予測できれば、シラスの初漁期を予測できる可能性がある。また、春漁期の中盤(5月)に、黒潮が内側域の大きい流路になるか否かを予測できれば、シラスの好不漁を予測できる可能性がある。
[その他]
研究課題名:漁業専管水域内資源調査(水研からの委託)

研究期間:平成19〜20年

予算区分:委託

研究担当者:鵜嵜直文、山田智、中村元彦、宮脇大

発表論文等:2008年春季の愛知県沿岸域におけるカタクチイワシシラスの好漁(2009),鵜嵜直文,黒潮の資源海洋研究,第10号,53-64.
[具体的データ]




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