宮古湾周辺海域における遊漁船によるヒラメ放流魚の釣獲実態 |
宮古湾周辺海域でヒラメを対象として操業される遊漁船の釣獲実態を調査した。調査を行った平成19年,20年の9〜11月の総釣獲尾数はそれぞれ1,801尾と1,324尾であり,このうち放流魚はそれ211尾と327尾であった。これらの値は1年間に宮古魚市場に水揚げされるヒラメの3.2〜5.7%であった。一方,遊漁船の乗船料の総額は水揚げ金額の20.5〜28.2%に相当した。 |
担当者名 |
独立行政法人水産総合研究センター宮古栽培漁業センター |
連絡先 |
Tel.0193-63-8121 |
推進会議名 |
東北ブロック |
専門 |
増養殖技術 |
研究対象 |
ひらめ |
分類 |
調査 |
「研究戦略」別表該当項目 |
1(2)水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発 |
[背景・ねらい]
宮古湾に放流したヒラメの回収率は10〜20%で推移していたが,平成11年以降は3〜5%に低下しており,その原因解明と改善方法の検討が求められている。同海域ではヒラメを対象とした遊漁船が操業しているが,釣獲量,特に放流魚の釣獲実態は把握されていなかった。そこで,ヒラメ遊漁の盛期(9〜11月)に放流魚および天然魚の釣獲実態の調査を行い,回収率低下に及ぼす遊漁の影響について検討した。
[成果の内容・特徴]
宮古湾周辺海域でヒラメを対象とする岩手県遊漁船業協会所属の遊漁船(7隻)の平成19年および20年9〜11月におけるヒラメ釣獲尾数は平成19年が1,801尾,20年が1,324尾であった。このうち,放流魚はそれぞれ211尾,327尾であった(表1)。調査期間以外にも遊漁船は操業するが,出船回数,釣獲尾数ともに少ないことから,今回の調査結果は年間の釣獲尾数に近い値と考えられる。これらの値は宮古魚市場における天然および放流ヒラメの水揚げ尾数の3.2〜5.7%に過ぎず,遊漁船による釣獲はヒラメの漁獲,特に放流魚の漁獲に大きな影響を及ぼさないと考えられた。
調査期間中の延べ出船回数と総客数は19年が158回で912人,20年が145回で825人であった。当海域におけるヒラメ遊漁の乗船料は一律で一人当たり7,000円であることから,乗船料の総計は577.5〜638.4万円である。一方,宮古魚市場における1年間のヒラメ水揚げ金額は2,048.2〜3,107.0万円であったことから,遊漁船乗船料は年間水揚げ金額の20.5〜28.2%に相当する事が示された(表1)。
[成果の活用面・留意点]
・これまで栽培漁業の受益者は漁業者のみと考えられていたが,その効果は遊漁業にも及んでいる事が明らかとなった。
・一般的に栽培漁業の事業効果はBenefit/Costで評価される。Benefitは産地市場における放流魚の水揚げ金額のみが計上されているが,遊漁業への貢献を計算し,Benefitに加えるための手法の開発が必要と考えられる。
[その他]
研究課題名:宮古湾をモデルとした重要魚種の資源培養技術の開発
研究期間 :H18〜22
算区分 :一般研究
予算区分 :一般研究
研究担当者:藤浪祐一郎
発表論文等:なし
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[具体的データ] |
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