| 水塊クラスター解析ソフトの開発と東北近海域の水塊変動解析への適用 |
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統計的なクラスター解析を用いて水温・塩分データを分類するソフトを開発し、主に夏季東北沖海域に出現する水塊の分布、出現率の経年変動を解析した。本ソフトを用いると、既存の手法では分類が困難な表層のデータについても、親潮第 1 分枝と関連して変動するクラスターを抽出することができた。 |
| 担当者名 |
国立研究開発法人水産研究・教育機構東北区水産研究所 資源環境部 海洋動態グループ |
連絡先 |
Tel.022-365-9928 |
| 推進会議名 |
東北ブロック |
専門 |
海洋構造 |
研究対象 |
海洋変動 |
分類 |
研究 |
| 「研究戦略」別表該当項目 |
5(2)主要水産資源の調査及び海洋環境等の長期モニタリング |
[背景・ねらい]
青森県から茨城県にかけての東北太平洋沖海域では、親潮、黒潮、津軽暖流等の異なる水塊が現れ、水産生物の分布等に大きな影響を及ぼす。本研究では、水塊を区分する手法として、統計的なクラスター解析を用い、各クラスターの分布特性や出現率の経年変動を解析した。そして、既存の分類手法による水塊分類結果と比較を行い、本手法の有用性について検証した。
[成果の内容・特徴]
本研究では、まず、水温、塩分の情報から、クラスター解析により水塊を分類し、可視化するソフトを開発した。開発したソフトは、水産研究・教育機構東北区水産研究所のホームページにて公開されている(図1)。本ソフトでは、入力した水温・塩分データを用いて、各サンプル間の「距離」を計算し、距離が小さいペアから順番にクラスターを結合し、指定のクラスター数以下になるまで結合を継続する。利用者は、指定された形式の水温・塩分データおよび、最大クラスター数等を入力し、解析を実行することで、クラスター番号が付与されたデータファイル等が出力される。
青森県から茨城県にかけての東北ブロック太平洋側各県の夏季(7-9月)定線CTD観測データについて、10-100m深の各深度において、本ソフトによる水塊分類手法を適用した(図2)。既存の手法では、特に10m深において、広い範囲の水温・塩分値をとる「表層水」区分に大半のデータが分類されてしまうため、どのような性質を持った水塊が本海域に分布するかを把握するのは難しかった。一方、本クラスター解析手法では、表層のデータであっても、水塊を細かく分類することができる。例えば、高温高塩分クラスターは、親潮第1分枝が北偏する年に出現が増加する傾向があり(図3、図4)、青森県や岩手県北部で出現が少ないなど、黒潮系の水塊が抽出されたことが示唆された。
[成果の活用面・留意点]
本手法で得られた各クラスターの出現率と水産生物の漁獲量変動の関係性を解析することで、ある魚種の漁獲量に影響する水塊を抽出できる可能性がある。水塊変動が漁況に与える影響をより明確に評価するためには、予め対象となる魚種の漁獲量から、資源量や漁獲努力量等の影響を除いた指標値を求めた上で、解析を行うことが望ましいと考えられる。
[その他]
研究課題名:東北沿岸海域の生物生産に影響を与える水塊変動特性の解明
研究期間:H29〜R元年度
予算区分:運営費交付金
研究担当者:田中雄大、長谷川大介、筧茂穂、奥西武
発表論文等:田中ほか(2019)「水塊クラスター解析ソフトの開発と東北近海域の水塊変動解析への適用 ―漁況変動解析への応用に向けた事例解析―」, 水産海洋研究, 83(3), 151-163.
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| [具体的データ] |
 図1:ダウンロードサイトのメイン画面(一部)
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本水塊分類ソフトのダウンロードサイトは、
http://tnfri.fra.affrc.go.jp/kaiyo/kaiyoubu
/watermass/index.html に設置されている。
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 図2:10m深でのTS(水温-塩分)図
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各クラスターを色で識別し、その出現率を右に示す。細黒線は等密度線、太黒線はHanawa and Mitsudera(1987)の水塊区分。KWは黒潮水、TWは津軽暖流水、OWは親潮水、SWは表層水を表す。(田中ほか(2019)図3改)
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 図3:親潮第1分枝南限緯度の経年変動
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「日本周辺太平洋域の海況予報システム(FRA-ROMS)」から得た夏季(7-9月)親潮フロント緯度の経年変動。1999年、2007年、2008年、2012年、2016年などで顕著に北偏していた。(田中ほか(2019)図2改)
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 図4:10m深での各クラスターの出現率の経年変動
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主に、親潮フロント緯度が顕著に北偏する年(1999年、2007年、2016年)に、高温高塩分のクラスター(CL01やCL02)の出現率が増加していた。(田中ほか(2019)図5改)
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