水産研究成果情報検索結果




試験操業と文献調査による大阪湾産クルマエビ科小えび類の主要構成種と分布の変化の解明
大阪湾では小えび類の内の主要構成種が1950〜1970年代にアカエビ・トラエビからサルエビ、1990年代以降にその逆のサルエビからアカエビへ交替し、近年アカエビの分布域が北部海域に拡大したことが確認された。小えび類の生息状況の変化が生じた時期は、富栄養化や貧栄養化、埋立による流動変化などの人為的な環境変化が生じた時期に相当しており両者の因果関係の検証が求められる。
担当者名 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所 水産研究部 水産支援グループ 連絡先 Tel.072-495-5252
推進会議名 瀬戸内海ブロック 専門 資源生態 研究対象 他のえび類 分類 調査
「研究戦略」別表該当項目 5(2)主要水産資源の調査及び海洋環境等の長期モニタリング
[背景・ねらい]
クルマエビ科の小型えび類(主にアカエビとサルエビで構成、以下「小えび類」と称する)は大阪湾で優占する底生生物群であり、重要な漁獲対象種でもあることから過去から研究がなされ、生物情報の蓄積がある。本研究では石桁網による試験操業により現在の小えび類の分布状況を明らかにし、その結果を文献情報と比較し過去からの種構成や分布等の変化とそれを導いた要因を検証した。
[成果の内容・特徴]
2017年以降6回の試験操業で採集された小えび類の内、アカエビが分布重量・個体数ともに70%以上を占める主要構成種であった。アカエビは2017・2018年の5・11月には大阪湾のほぼ全域に分布し、特に2017年には大阪湾北部と関西国際空港の南側に集中的に分布する地点が見られた(図1)。また、8月には湾奥部で発生した貧酸素水塊により分布が制限された様子も確認された。

大阪湾の小えび類に関する文献情報から、水質環境が悪化した高度経済成長期の1950〜1970年代の間に主要構成種がアカエビ・トラエビからサルエビに交替し、1990年代までその状況が継続したことが判明した。その後、1990年代後半を境にして高度経済成長期とは逆のサルエビからアカエビへの主要構成種の交替が生じており、同時期には溶存態無機窒素(DIN)濃度が減少に転じている。また、アカエビの分布は1980年代には大阪湾西部から紀淡海峡寄りに限られていたと報告されているが、現在は大阪湾のほぼ全域に分布しており、大阪湾北部海域への分布拡大が窺われた。1990年代後半には湾奥部で人工島の建設が進行し、流動構造の変化とそれに伴う堆積物分布の変化が生じたことが示唆されている。上記のとおり、大阪湾で小えび類の生息状況が変化した時期には人為的な海域環境の変化があり、両者の因果関係の検証が求められる。
[成果の活用面・留意点]
大阪湾の水質や底質といった海域環境の変化を生物視点からモニタリングしていくうえで小えび類は極めて重要な生物種であると考えられ、今後も漁獲物調査や試験操業によるモニタリングを継続する。他の漁獲対象種についても同様の検証を進め、好適な環境と高い生産性が併存する大阪湾の望ましい在り方を検討していく必要がある。
[その他]
研究課題名:大阪湾におけるクルマエビ科小エビ類の資源動態と環境要因の関係性の解明

研究期間:H29-H30

予算区分:競争的資金(大阪湾圏域の海域環境再生・創造に関する研究助成)

研究担当者:山中智之

発表論文等:
[具体的データ]

図1 アカエビおよびサルエビの分布量の模式図(左列:2017年5・8・11月、右列:2018年5・8・11月)



図2 文献調査に基づく小えび類主要構成種の変遷(黄:トラエビ;青:サルエビ;赤:アカエビ;橙:キシエビ)






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