| サケ野生魚と放流魚の回帰率の比較 |
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サケ放流魚が全数標識されている北海道千歳川において降下稚魚のトラップ調査および回帰親魚のモニタリング調査のデータからサケ野生魚の河川回帰率を推定し、放流魚と比較した。その結果、河川回帰率はサケ野生魚で0.22〜0.86%、放流魚で0.17〜1.29%と推定され、野生魚は放流魚と比べ体サイズが小さく降下時期も遅いものの、その河川回帰率は同程度であることが明らかとなった。 |
| 担当者名 |
国立研究開発法人水産研究・教育機構北海道区水産研究所 さけます資源研究部 資源保全グループ |
連絡先 |
Tel.011-822-2340 |
| 推進会議名 |
北海道ブロック, さけ・ます関係 |
専門 |
資源生態 |
研究対象 |
さけ・ます類 |
分類 |
研究 |
| 「研究戦略」別表該当項目 |
1(2)水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発 |
[背景・ねらい]
サケは北日本の水産業にとって重要な魚種であり、長年人工ふ化放流事業により資源造成が図られてきた。一方、近年の研究から日本でも自然産卵由来のサケ野生魚の存在が明らかとなっており、それらを活用したふ化放流事業の展開が期待されている。そのためには、サケ野生魚の生物特性の把握および自然産卵が増殖事業にもたらす効果に関する知見の蓄積が重要である。本研究では耳石温度標識により放流魚と野生魚を区別できる北海道石狩川水系千歳川において、自然産卵由来のサケ野生魚の回帰効果を検証することを目的とし、降下稚魚のスクリュートラップ調査から推定された野生稚魚の降下数と回帰親魚のモニタリング調査から得られた野生親魚数をもとにサケ野生魚の河川回帰率を推定し、放流魚との比較を行った。
[成果の内容・特徴]
調査対象とした2006〜11年級群(2007年級群を除く)について野生魚と放流魚の河川回帰率を求めたところ、野生魚は0.217〜0.856%、放流魚は0.169〜1.285%と推定された。野生魚と放流魚の河川回帰率の平均値に有意差は認められなかった。河川回帰率の年変動は放流魚で野生魚よりも大きい傾向を示したが、その分散に有意差は無かった。降下稚魚の平均体重は野生魚が0.4〜0.5g、放流魚は0.8〜1.0gで野生魚が有意に小さかった。野生魚・放流魚共に河川回帰率と降下稚魚の体サイズの間で正の相関関係が見られ、放流魚では統計的に有意だった。さらに河川回帰率と降下稚魚のスクリュートラップ通過日の間には4月中旬をピークとする凸型の関係性(有意差無し)が見られ、野生魚の方が通過日が遅い傾向にあった。ふ化放流事業における「適期・適サイズ放流」の概念から外れているサケ野生魚でも放流魚と同程度の河川回帰率を示すという結果は日本のサケでは新たな知見であり、興味深い。
[成果の活用面・留意点]
これまで日本では自然産卵によるサケの資源造成は困難であると考えられてきたが、本研究の結果は(サケ野生魚と放流魚が受ける漁獲圧に差が無いと仮定した場合)野生魚であっても放流魚と同程度の回帰を見込める可能性を示しており、今後自然産卵を活用したふ化放流事業を検討する上で重要な知見となる。一方、サケの沿岸定置網における漁獲圧は時期により異なるため、漁獲圧が低い時期は河川回帰率が高くなる傾向があり、河川回帰率と回帰率(自然要因による海洋生存率)の大小は必ずしも一致しない。そのため河川回帰率を回帰効果の指標とする際はこの点に留意する必要がある。
[その他]
研究課題名:野生魚を活用したさけ・ます類の維持・管理手法の開発(交付金)
研究期間:2019年度(2016年-2018年)
予算区分:運営費交付金
研究担当者:森田健太郎、福澤博明、鈴木健吾
発表論文等:水産技術 11巻・1号 9-14頁 2019年
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| [具体的データ] |
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