水産研究成果情報検索結果




電子標識からの情報を用いたカツオの漁場予測
八丈島におけるカツオ曳縄漁の効率的な操業を支援するため、電子標識(水温、水深、体温、照度を記録)を用いたカツオの遊泳行動把握に取り組んだ。その結果、遊泳水深は主に10m以浅であることから、電子標識に記録された10m層の水温データと推定された遊泳位置における10m層の流速・塩分、海面高度を用いて漁場予測モデルを作成し、海洋環境と漁獲尾数の関係を検討した。
担当者名 東京都島しょ農林水産総合センター 八丈事業所   連絡先 Tel.04996-2-0209
推進会議名 中央ブロック, 国際水産資源関係 専門 資源生態 研究対象 かつお 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 2(2)効率的な漁業生産技術の開発 
[背景・ねらい]
八丈島におけるカツオ曳縄漁は島の漁業を支える重要な漁業であり、これまでカツオ漁場における水温などの海洋条件を把握してきたが、近年、海洋条件が整っても漁場が形成されない状況になっている。そこで、操業支援を目的に八丈島周辺海域で電子標識によるカツオの行動把握から漁場形成因子の再検討を行った。
[成果の内容・特徴]
(1)カツオ漁業モニタリング 八丈島におけるカツオ曳縄漁の漁獲量は、平成18年以降不漁傾向が継続し、平成27年漁期は過去最低の漁獲量を記録した。資源量指数となる1隻当たり漁獲量(CPUE)も豊漁であった平成17年以前の1/3から1/10程度まで減少している(図1)。

(2)漁場の海洋条件把握 平成27〜30年に調査指導船「たくなん」でカツオの曳縄操業を計60日間行った。操業位置における10m層の水温、流速、塩分、海面高度をFraroms(水研機構が開発した海況予測システム)から抽出するとともに、CPUE(尾/h)を算出し、漁場予測モデルの検証データに用いた。

(3)標識放流と行動生態把握 電子標識の放流を4か年で延べ155尾実施し、再捕された7尾からデータを抽出した。従来の標識放流で多く認められた北東方面への動きだけでなく、黒潮の内側で移動している個体や南下する個体が確認できた(図2)。遊泳水深は昼夜とも10m以浅が多く、最大水深は550mであった(図3)。遊泳水温は18℃以上が99%を占め、水温により水平および鉛直移動が制限されている可能性が示された(図4)。また、体温データを解析し、海山周辺で摂取量が多い傾向が見られた(図5)。

(4)カツオ漁場予測と検証 カツオの好む海洋条件を推定するため、電子標識に記録された、10m層の水温、推定位置より抽出した10m層流速・塩分、海面高度を用いてSI(適性指数)を求めた(図6)。SIの組み合わせにより、6通りのHSI(生息環境適性指数)を求め、平成27〜30年のたくなんによる漁獲データで検証したところ、10m層水温・塩分、海面高度を用いた組合せが最も当てはまりが良いと考えられた(図7)。
[成果の活用面・留意点]
今回、電子標識7本分のデータを用いて漁場予測モデルを作成した(図8)。今後は、カツオが海山でエネルギー摂取量が多いことに着目し、好餌料環境の因子を取り入れ、更なる予測精度向上に努めていく。


[その他]
研究課題名:カツオ漁業支援研究

研究期間:平成27〜30年 予算区分:都単

研究担当者:尾形梨恵・駒澤一朗

[具体的データ]




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