| スルメイカ冬季発生系群を例とした大規模な資源変動を示す小型浮魚類の適切な資源管理手法の検討 |
|
海洋環境が好適レジームから不適レジームに変化した場合の資源管理をMSEにより検討した。好適レジーム型の管理を継続した場合、漁獲量は不適レジーム型の管理と比較して少なくなった。一方、資源状態を悪化させる確率はどちらの管理型でもほぼ変わらない為、好適レジーム型の管理では過度に漁獲を抑えることになる可能性が示された。不適レジームにおけるBlimitは1.5億尾前後が適正と考えられた。 |
| 担当者名 |
国立研究開発法人水産研究・教育機構北海道区水産研究所 資源管理部 浮魚資源グループ |
連絡先 |
Tel.0154-92-1715 |
| 推進会議名 |
北海道ブロック |
専門 |
資源評価 |
研究対象 |
するめいか |
分類 |
研究 |
| 「研究戦略」別表該当項目 |
1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発 |
[背景・ねらい]
スルメイカはレジームシフトにより大規模な資源変動をすると考えられている。本研究では、レジームシフトに伴う様々な不確実性に対しても資源量・漁獲量を安定させ、かつ漁獲量の減少をできるだけ抑える、といった望ましいと思われる管理方策を検討するための、現行のABC算定規則に基づく管理戦略評価(以下MSE、コンピュータシミュレーションによるもの)を実施するためのツールを作成した。
[成果の内容・特徴]
環境が好適レジームから不適レジームへ移行した場合の、スルメイカの資源管理と資源動態をシミュレーションするMSEを作成した(図1)。資源管理には、レジーム変化に関わらず好適レジーム型の管理を継続する場合と、レジーム変化を最大3年遅れて判断し、不適レジーム型の管理に移行する場合の計5つを設定した(図2)。MSEの結果、好適型管理ではBlimit(親魚量がこの値を下回ると回復措置をとる閾値)は6〜7億尾で推移し、不適型管理では1.5億尾で推移した(図3a)。好適型管理の場合、Blimitが高いため、親魚量は不適型管理より多めに維持されるが、漁獲量は不適型管理と比較して低めであった(図3bc)。親魚量が過去最低値を下回る確率はどちらの管理型でも変わらず低かったため、不適レジームで好適型管理をすると過度に漁獲を抑えると考えられた(図3d)。また、レジーム判断が1〜3年遅れたとしても、維持される親魚量や漁獲量はほぼ変わらないが、判断が早い方が総漁獲量はやや多くなった(図3b)。好適型管理の場合、常に回復シナリオになるが、不適型管理をとった場合、回復シナリオを取る確率はおよそ10%に抑えられた(図4a)。資源状態を悪化させる危険性も低いことから、Blimit1.5億尾は適切な水準と思われた(図4b)。
[成果の活用面・留意点]
本研究で作成したようなMSEをさらに高度化させることで、加入の不確実性が高い資源や情報が不足するような資源に対しても、資源状態を悪化させず適切な管理方策を検討できるよう、今後もこのような研究を継続し、適切な管理方策を提案する体制を作ることが望ましい。本結果は、現行のABC算定規則に基づく結果であり、今後適用される新算定規則については、改めて検討が必要である。
[その他]
研究課題名:大規模な加入量変動を示す小型浮魚類の適切な管理手法の確立(交付金)
研究期間:2019年度(2016年〜2020年)
予算区分:交付金
研究担当者:加賀敏樹、岡本 俊
発表論文等:日本水産学会誌 82巻・5号 686-698頁 2016年、2018年度水産学会春季大会、2019年度水産海洋学会シンポジウム
|
| [具体的データ] |
|
|