水産研究成果情報検索結果




暖流系大型アワビ類の稚貝生息場の造成・調査手法の開発とそのガイドラインの作成
暖流系大型アワビ類の資源回復を目的とした稚貝生息場造成手法を開発し、そのガイドラインを作成した。2016年に造成した稚貝生息場におけるモニタリングでは、2017年と2018年の春に天然稚貝が高密度で発生し、それらが殻長20 mm程度まで成長したことを確認した。天然の再生産を活用した本造成手法は低コストで実施可能であり、小規模経営体が行う新たな増殖策として期待できる。
担当者名 国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所 沿岸・内水面研究センター 沿岸資源・生態系グループ 連絡先 Tel.045-788-7603
推進会議名 中央ブロック 専門 資源生態 研究対象 貝類 分類 普及
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
我が国の大型暖流系アワビ類資源の漁獲量は長らく低迷している。これらの生活史におけるボトルネックとして、相模湾においては転石帯に形成される稚貝生息場と大型海藻の存在する成貝生息場間の空間的な隔たりが影響していることが示唆された。そこで、好適な成貝生息場と隣接した地点に稚貝生息場を造成するための技術開発を行い、当該資源の天然再生産を向上することを目指した。
[成果の内容・特徴]
神奈川県横須賀市長井地先のアワビ保護区内の水深約4 mの地点に稚貝生息場の造成試験区を設定し、同年9月に小型の御影石およそ1,400個を砂底に投入した(図1)。この試験区において潜水によるモニタリング調査を行った結果、2017年及び2018年の春には天然の大型アワビ類及びトコブシの稚貝が周辺の天然生息場に劣らない密度で出現した(図2)。これらの大型アワビ類稚貝は殻長20 mm程度まで順調に成長したが、夏には成長の停滞が見られた(図3)。上記の調査結果と同事業で得られたその他の知見を総合し、大型アワビ類天然稚貝の生息場造成及び調査手法に関するガイドラインを作成した。
[成果の活用面・留意点]
大型アワビ類の天然再生産を活用した資源添加手法は、種苗放流や大規模な漁場造成といった従来の増殖策に比べ低いコストで実施可能で、小規模経営体が行う新たな方策として期待できる。夏以降、造成試験区の稚貝に餌料不足が原因とみられる成長停滞が見られたため、今後は持続的な餌料供給を目指した手法改善を図る必要がある。また、他海域への応用においては、稚貝生息場が形成される微地形が環境条件によって異なることに留意する必要がある。
[その他]
研究課題名:生態系ネットワーク修復による持続的な沿岸漁業生産技術の開発 アワビ類の再生産過程におけるボトルネックの特定とその解消技術の開発

研究期間:平成25〜29年度

予算区分:農林水産技術会議委託プロジェクト研究

研究担当者:黒木洋明・澤山周平・丹羽健太郎・堀正和

発表論文等:

1. 澤山周平・黒木洋明・丹羽健太郎・堀 正和・堀井豊充(2019):神奈川県長井地先の造成生息場における天然アワビ類稚貝の出現・成長と環境遷移.Nippon Suisan Gakkaishi 85(4); 406-420

2. 漁場造成手法の開発.生態系ネットワークの修復によるアワビ資源回復のためのガイドライン.http://www.affrc.maff.go.jp/docs/project/seika/2016/seika2016.htm (近日掲載予定)

[具体的データ]




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