| 遡上系種苗の導入と天然資源の回復によるサクラマス資源増殖研究 |
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池産系種苗に比べ生産コストが低い遡上系種苗の導入に必要な技術の開発・技術移転に成功した。また、産卵遡上障害の解消による天然サクラマス資源の回復効果の評価を行い、遡上障害解消が天然サクラマス資源の回復に有効であることを明らかにした。 |
| 担当者名 |
地方独立行政法人北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場 さけます資源部 さけます研究グループ |
連絡先 |
Tel.0123-32-2136 |
| 推進会議名 |
北海道ブロック, さけ・ます関係 |
専門 |
増養殖技術 |
研究対象 |
さけ・ます類 |
分類 |
研究 |
| 「研究戦略」別表該当項目 |
1(3)水産生物の生育環境の管理・保全技術の開発 |
[背景・ねらい]
サクラマスの資源増殖を進める上で、高い種苗生産コストが問題となってきた。また、サクラマス資源はその大半が天然資源により維持されていることから、人工増殖に加え、天然資源の回復に向けた取組みも不可欠である。本研究では、生産コストが低い遡上系種苗(母川回帰した親魚に由来する種苗)の導入に必要な技術の確立と民間施設への移転に加え、遡上環境の修復による天然資源の回復効果について評価した。
[成果の内容・特徴]
民間施設において遡上系種苗の生産技術を確立するとともに、現地への技術移転を完了し、種苗生産コストの大幅な軽減が図られた。産卵適地への遡上障害の解消による資源回復効果は、最大で稚魚放流512万尾に相当すると推定され、環境修復の効果が十分に発現するには2世代(6年間)以上の時間が必要であることが明らかとなった。
[成果の活用面・留意点]
・遡上系種苗の高回帰性、種苗生産に適した施設および改善が必要な施設ならびに遺伝的特性に関する知見は、行政においてサクラマス資源増殖の方向性を検討する際に活用されている。
・潜在的な自然再生産可能区間の推定結果については道水産林務部に提供を済ませており、環境修復によるサクラマス資源増殖に向けた施策への活用が期待される。
・魚道設置や工作物のスリット化の効果については、道水産林務部治山課、後志総合振興局林務課、函館建設管理部に提供し、工作物改良事業の計画立案を進める際に活用されている。
[その他]
研究課題名:遡上系種苗の導入と天然資源の回復によるサクラマス資源増殖研究
研究期間:2019年度(2013年度-2019年度)
予算区分:経常研究
研究担当者:卜部浩一
発表論文等:Metapopulation stability in branching river networks. Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS) 115(26) 2018、魚道設置後のサクラマス資源の増加過程. 日本水産学会誌 85(3)2019
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| [具体的データ] |
 図1 遡上系種苗導入後のサクラマスの捕獲数の変化
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遡上系種苗の導入後、親魚の捕獲数が大幅に増加し、千走孵化場において、捕獲した親魚を基にした種苗生産技術を確立した。
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 図2 工作物による遡上障害区間の推定結果
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北海道南部の河川において、河川工作物によりサクラマスが遡上できない河川区間は合計で1,735kmに及ぶことが明らかとなった。それらの河川区間においてサクラマスが自然再生産した場合、512万尾の稚魚が涵養されると推定された。
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 図3 魚道設置後のサクラマスの回復過程
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魚道設置により産卵適地および生育場所が拡大した尻別川水系白井川において、魚道設置から数えて2世代目で資源水準(産卵床数)が2倍に、3世代目には2世代目の1.4倍に回復した。
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