水産研究成果情報検索結果




ニューラルネットワークを用いた黒潮予測の試み
中央水産研究所では、半年先の都井岬沖の黒潮離岸距離を予測する線形重回帰モデルを開発し、2014年より黒潮の予測情報として発信してきたが、このモデルによる半年後の予測の正確さは3割程度と決して高いとはいえない。そこで、新たな黒潮変動の予測モデルの候補として複数の統計モデルを検討してきた結果、ニューラルネットワークを用いたモデルを用いることにより、従来の予測精度の2倍改善した。
担当者名 国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所 海洋・生態系研究センター モニタリンググループ 連絡先 Tel.045-788-7652
推進会議名 中央ブロック 専門 海洋構造 研究対象 海流 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
海洋・生態系研究センターで実施している都井岬沖の黒潮離岸距離の6か月先の予測手法は、衛星海面高度を説明変数とした線形重線形重回帰モデルによる6か月(26週間)後の黒潮の予測精度は相関係数で0.53、誤差で0.4経度と必ずしも高くないため、精度向上が求められていた。重回帰モデルの長所は、道具立てが簡便でかつ解釈が用意なことであるが、複雑なモデルの構築には不向きなため、精度向上には限界がある。本研究では、精度向上のため、人工知能技術の一つであるニューラルネットワーク等の学習系モデルを用いた予測手法を試み、精緻なモデル開発の基盤整備とすることを目的とした。
[成果の内容・特徴]
線形重回帰モデルは上記のように設計に一定の制約があるため、黒潮変動のような複雑な物理現象の表現が限定されている可能性がある。そこで、この制約の緩和が可能なGAM(一般化加法モデル)、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークを開発モデルの候補として評価し、正確さを比較したところ、最も正確に予測できたのはニューラルネットワークモデルで、6か月(26週間)後における予測の正確さは相関係数で0.8(図1上)、誤差で0.3経度(図1下)になり正確さが向上した。これはニューラルネットワークが非線形モデルを採用しているためである。これによる、従来以上に正確な黒潮変動予測情報を発信することが可能となり、黒潮の流路変動と関係のあるカツオやシラスなどの漁場形成予測に役立つことが期待される。


[成果の活用面・留意点]
ニューラルネットワークは、人間の脳にあるニューロンと呼ばれる神経細胞の有機的結合である神経伝達回路を数理的に模したモデルである。この手法は、学習機能を有した非線形回帰分析を可能とするため、線形重回帰モデルでは不可能な複雑なモデルの構築が可能となる。このことは、線形では説明できない海洋現象の取り込みや、学習による予測精度のブラッシュアップを可能とするもので、現在、漁海況予報会議等で実施している海況予測の精度向上に貢献するものと考えられる。
[その他]
研究課題名:海洋データを統合するマルチスケールモデリング及び漁海況情報解析・発信技術の開発

研究期間:平成28年度〜平成31年度

予算区分:交付金重点研究、交付金シーズ研

研究担当者:瀬藤 聡、日高 清隆、清水勇吾、日下 彰、安倍大介、伊藤大樹(海洋・生態系研究センター)

発表論文等:研究のうごき第17号
[具体的データ]

図1.4種類の統計モデルによる予測精度
図1上下の横軸は予測週。図1上の縦軸は相関係数。図1下の縦軸は誤差。図1上では数値が大きいほど、図1下では数値が小さいほど予測精度が高い。緑がニューラルネットワーク、紺がランダムフォレスト、赤がGAM、青が線形回帰モデル(従来の方法)。









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