減塩オリーブイリコの開発 |
減塩志向の消費者に訴求する煮干を開発するため、オリーブイリコの煮熟条件を改変して減塩オリーブイリコの製造を試みた。今回、製造した減塩オリーブイリコは、オリーブイリコの栄養成分、遊離アミノ酸、イノシン酸、EPA、DHA含量と類似し、食塩相当量のみ半減していたことから、減塩志向の消費者に訴求できる品質を保持していると考えられた。 |
担当者名 |
香川県産業技術センター 食品研究所 |
連絡先 |
Tel.087-881-3175 |
推進会議名 |
水産利用関係 |
専門 |
加工流通技術 |
研究対象 |
いわし |
分類 |
普及 |
「研究戦略」別表該当項目 |
2(2)効率的な漁業生産技術の開発 |
[背景・ねらい]
我々は、塩水にオリーブ葉を添加し煮熟処理後、乾燥する新たな煮干魚の製造方法を開発し、この製法により製造した煮干(商品名:オリーブイリコ)は、従来製法の煮干に比べてカタクチイワシ特有の魚臭と苦味が減少することを明らかにしている。さらにオリーブイリコ出汁の香りは、ヒト試験において心理・生理的な鎮静効果を有し、心身両面に影響することを明らかにしている。
本研究では、減塩志向の消費者に訴求可能な減塩オリーブイリコの製造を試み、オリーブイリコと減塩オリーブイリコの栄養成分、食塩相当量、遊離アミノ酸、旨味成分のイノシン酸、高度不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)を測定し、両者間での比較を行ったので報告する。
[成果の内容・特徴]
オリーブイリコの製造は、カタクチイワシの表面を海水で洗浄後、0.2%(w/v)のオリーブ葉を添加した5%塩水中に浸漬、、3分間煮熟処理を行った後、送風により品温を下げ、さらに45℃、17〜20時間の乾燥により行う。これに対し、減塩オリーブイリコは、オリーブ葉を添加した水道水での浸漬・煮熟処理に変更して行った。
減塩オリーブイリコの栄養成分であるタンパク質、脂質、炭水化物の値は、オリーブイリコの値と類似していた。一方で、減塩オリーブイリコの食塩相当量は、1.9 g/100gとなり、オリーブイリコの4.1 g/100gと比較し、塩分が約54%減少した。カタクチイワシの煮熟処理を約5%の塩水から水道水に変更して製造した結果、オリーブイリコの塩分が約50%以上減少することが明らかとなった。
オリーブイリコと減塩オリーブイリコに含まれる遊離アミノ酸含量は、両者間で、非常に類似しており、イノシン酸、EPAおよびDHA含量も、両者間で大きな差異は認められなかった。
減塩オリーブイリコを試作したところ、オリーブイリコと比較して、食塩相当量を50%以上削減できた。一方、栄養成分であるタンパク質、脂質、炭水化物、遊離アミノ酸、イノシン酸、EPA、DHAは保持されており、減塩志向の消費者に訴求可能な煮干の製造ができることを明らかにした。
[成果の活用面・留意点]
民間企業において、R5年度から販売を開始
[その他]
研究課題名:減塩オリーブイリコの開発(民間企業からの委託)
研究期間:2022年度
予算区分:県単
研究担当者:松原保仁、田村章、浅井貴子、久保和子、松原梓、西村冴加
発表論文等:香川県産業技術センター研究報告、No23、p54-56、(2022)
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[具体的データ] |
表1 栄養成分,食塩相当量の比較

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表2 遊離アミノ酸, イノシン酸, EPA, DHAの比較

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