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夏季の伊勢湾における流動構造と貧酸素水塊及びクロロフィルa濃度の分布
 夏季、伊勢湾の底層には貧酸素水塊が形成され、その形成には流動構造が関連すると考えられている。密度の鉛直断面図と水深別の水平分布図から夏季の流動構造を推定し、貧酸素水塊とクロロフィルaの分布との関連性を調べた。湾央〜湾南部に反時計回りの循環流や知多半島西岸を北上する流れが推定され、この流れが貧酸素水塊の形成や植物プランクトンの発生や輸送に影響を与えていると考えられた。
担当者名 愛知県水産試験場 本場 漁業生産研究所 海洋資源グループ 連絡先 Tel.0569-65-0611
推進会議名 中央ブロック 専門 海洋構造 研究対象 海洋構造 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 5(2)主要水産資源の調査及び海洋環境等の長期モニタリング
[背景・ねらい]
 夏になると伊勢湾の底層には貧酸素水塊が形成され、底生生物資源や底びき網の漁場形成に影響を与えている。貧酸素水塊の形成には、エスチュアリー循環流や残差流といった流動構造が関連すると考えられている。そこで、2018年7月の観測結果から密度の鉛直断面図と水深別の水平分布図を作成し、夏季の伊勢湾における流動構造を推定した後、貧酸素水塊とクロロフィルaの分布との関連性を調べた。
[成果の内容・特徴]
・密度の水平分布図とTSダイアグラムから、河川水の影響を受けた高温・低塩分の低密度水が上層を湾奥から湾口に向かって西側を南下し、それを補うように湾口部で混合した湾口部混合水(σt22.5〜23.5)が東側を北上する様子がとらえられた(図2, 3)。

・この湾口部混合水はDO濃度が比較的高く、北上に伴って侵入水深が深くなることから、底層DOを改善し、水深10〜20mの伊勢湾北東部に小型底びき網の漁場が形成される要因の一つと考えられた。

・湾央から湾南部では底層の貧酸素水塊が浮上しており、そのやや湾奥の上層にクロロフィルa濃度の高い層が存在する様子がとらえられた(図4)。

・これは、湾央から湾南部にある反時計回りの循環流(低気圧性の渦)により、底層にある貧酸素水塊が持ち上げられること、この貧酸素水塊から中層に栄養塩が供給されることで、この水深で植物プランクトンの増殖が盛んになっていると考えられた(図4)。

・なお、底層から浮上した貧酸素水塊の位置と植物プランクトンの極大層が一致しないのは、湾口部混合水に取り込まれたプランクトンが北上する流れにのって湾奥へ輸送されているためと考えらえた(図4)。
[成果の活用面・留意点]
 知多半島西岸を北上する流れが夏季の伊勢湾における流動構造にとって重要であり、貧酸素水塊の消長、湾内への仔稚魚の流入や生産性の変動に大きく関与すると考えられる。流動構造は季節によって変化するため、伊勢湾の水質改善や資源回復策を検討する上で、季節ごとの関係を調べていく必要がある。
[その他]
研究課題名:漁業専管水域内資源調査

研究期間:平成13年〜平成30年

予算区分:水産庁委託事業

研究担当者:林凌太朗、中村元彦

発表論文等:黒潮の資源海洋研究 第20号 75-82(2019)

[具体的データ]




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